朝日岳から白馬岳へ

更新日:2023年02月07日

朝日小屋の前より白馬岳を望むの図

広大な朝日岳の山頂を後にして、左足下に広がる白高地沢や色とりどりに咲き吹き上げる風に揺らめく高山植物を見ながら下る。シラビソ(蝦夷松)樹林帯を抜けると朝日岳の横廻り道(水平道)との合流点に出る。ここから幾筋かの小沢を縫うようにしばらく行くと、緑に包まれた静寂な平坦地に出る。小桜ヶ原だ。

ここには、大小の池溏があって、清楚な白い花を咲かせる水芭蕉をはじめ、たくさんの湿地性高山植物が咲き乱れている。可憐な花々を見ていると、立ち去りがたい思いに駆られるが、小桜ヶ原を出て、燕岩下のガラ場を通り、赤男山と雪倉岳との鞍部に出る。砂礫の道を少し登ると左側の横巻道に入る。右頭上からの落石に注意しながら露岩と高山植物が混在する斜面を通り、ゆるやかな砂泥の道を登って枝尾根に出ると、稜線から垂れ下がった巨大な白布の様な雪渓が眼前に広がる。ここで涼風と凄烈な水の音に誘われて大休止とする。

重い腰をあげて、雪渓を左足下に見ながらしばらく登ると主稜線に出る。だだっ広い砂礫の道を可憐な 駒草 ((こまくさ))に元気付けられて登り、雪倉岳頂上に着く。山頂は、劒岳・毛勝山・僧ヶ岳が連なる立山連峰北方稜線や富山平野、柳又谷上部白馬岳から白馬大池までの稜線など360度のパノラマが楽しめる展望のよい開けたところである。だがここは、往路・復路いずれの場合にも、1日行程の中間地点になるため、時間的にガスに阻まれることが多く、その機会に遭遇することは少ない。

雪倉岳を後にし、ガレ場を少し下ると、石を積み上げて周辺を囲った雪倉避難小屋がある。この先には広い鞍部が広がっているが、ガスが発生すると登山道を見失ってしまうこともある。

鞍部を過ぎると、廃道に近い鉢ヶ岳稜線の道を避けて、東面のほぼ水平に近い道を行く。いくつもの雪渓を横断しながら這松帯を抜けると、再び稜線に出る。ここは、鉢ヶ岳と三国境(富山・新潟・長野三県の境界が合流する地点)との鞍部で、一帯には高山植物の女王といわれる駒草の群落がある。

ここから緩い登りが続くが、しばらく登ると這松庭園のような広い平坦地に出る。白馬岳がぐんと近くに見え、広大な柳又谷源流ぞいに旭岳・不帰岳・清水岳が連なっている。また下方には長池が這松の海に隠れるように小さく見える。くずれやすい岩屑の道をさらに登ると、白馬岳の主稜線に着く。ここが三国境である。

ここで最後の休憩を取り、大雪渓から吹き上げてくる涼風に元気を取り戻し、痩せた岩稜を登り始める。白馬岳の頂上はもうすぐだ。後を振り返ると、雲の海に雪倉岳や朝日岳の山頂だけが見え隠れしていた。

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