小川温泉から朝日岳へ

更新日:2026年09月25日

原生林の中を行く

朝日岳より白馬岳を望む画像

小川温泉は、藩制時代から黒部奥山廻り役人の休泊所であった。露天風呂への高い人気から賑わいを見せている。温泉を出て、舗装された町道湯ノ瀬北又線を行くと標高881メートルの越道峠に至る。因みに、この北又線は、徒歩・一般車両の通行は禁止されており、タクシーか町の許可車両のみが通行可能である。距離は約10km、約40分の行程だ。

越道峠から北又谷までは緩い勾配の下り坂で、歩いて40分ほどである。標高700メートルの北又小屋は、登山及び周辺散策の拠点として北又ダムの建設に伴って改築された。

北又川にかかる吊橋はダムの放水を見ながら渡る。往時の板渡しの揺れる橋から堅牢なものになり、水面からは14メートルもそう高さを感じさせない。

吊橋で北又川を渡るといよいよ本格的な登山道となる。

1合目、2合目休憩地は大きなブナの下である。いずれからも北又ヘリポートが見え、谷から吹きあげる風が快い。

(白いブナの幹に、天保六年忠○○、明治七年△△など多くの文字が刻まれている。)本登山道は、昭和3年発足の地元の自然保護団体:大蓮華山保勝会(おおれんげざんほしょうかい)が朝日岳へのルートとして開拓したと記録されている。

4合目を過ぎると、まもなくブナ平である。巨大なブナの木がうっそうと生い茂っている。5合目を過ぎると、木の根が張り出した急な道になる。7合目は白樺坂とされているが、付近の白い木はダケカンバである。春先にはウラジロヨウラクの赤紫の小鈴状花が咲いている。8合目からは、ふくいくたる香りを漂わせるオオシラビソの樹林が続く。9合目からは尾根伝いとなり、イブリ山頂に出る。

夕日が原の画像

イブリ山から若干下り、馬の背の鎖場を過ぎると高山植物の豊富な夕日ヶ原に出る。山開きシーズンには草原は残雪に覆われ大雪原と化している。

登り切ったところで朝日平に出る。合掌造りの赤い三角屋根の朝日小屋が、草原の高山植物の中に立っていて、その向こうには大きな山頂が屏風のように広がっている。時間が経つと、真っ赤な夕日が雲海に沈み始め、星がきらめいているのが見える。

翌早朝、山頂を目指す。頂上へは1時間も要しない。汗もかかないうちにゆったりと広い頂上に着く。眺望は一気に広がり、黒部・立山の俊峰、白馬岳、雪倉岳の大きな山容が眼前に迫る。また、信州・越後の山々が雲海の上に林立している。朝の頂上は風が強く、薄片の雲が幾筋も頭上をかすめていくだろう。

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