鹿嶋神社拝殿と組物及び彫刻

更新日:2023年03月31日

町 建造物 平成7年2月3日指定

朝日町宮崎1484(鹿嶋神社)

拝殿の建立について確実な史料はないが、彫刻の年代在名からして、明治12年(1879)ごろの竣工と推定される。

拝殿は、桁行三間、梁間四間、間口9.06メートル、奥行8.48メートルの入母屋造りで、欅材を使用、屋根は総瓦葺きである。正面は千鳥破風(ちどりはふ)及び軒唐破風(のきからはふ)を向拝柱(ごはいばしら)にて支える。縁を設け、高欄を巡らし、脇障子を取り付けている。母屋柱はすべて円柱にして組物は、拳付き三斗組(みつとくみ)で軒桁を支える。軒は、二軒繁垂木(ふたのきしげたるき)で化粧し、中備(なかぞなえ)には蟇股(かえるまた)を、また、頭貫端(かしらぬきばな)にはやつし象鼻を取り付けている。妻飾りは、切妻、千鳥妻ともに斗共(ときょう)と妻虹梁(つまこうりょう)を組みて、上に大瓶束(たいへいづか)、蟇股を以って棟木を支える。懸魚(げぎょ)は、鮃(ひらめ)形六葉付、鰭彫を組みて飾り付けている。正面千鳥妻には、中央に力士像を置き、妻虹梁を支えている様相は、まことに趣きがあり、力強さを感じさせる。向拝は一間造りにして角柱なり。木鼻は、正面が獅子、側面は獏(ばく)彫である。

虹梁には、左右向い龍の図で、特筆すべきは、一本(いちぼく)を以って深彫平面を掘下げて表現していることである。

下面には、錫杖に巻龍の浮き彫りで、龍頭の突出が見所である。虹梁下持送り(じたもちおくり)には、籠彫で水浪に石亀を彫り、蟇股には、神話の八岐の大蛇退治を図彫する。

柱手挾(はしらたばさ)みも籠彫にて、両方ともに老松に翔天の鶴を彫る。

向拝柱と母屋柱をつなぐ海老虹梁には、若葉、玉浪、雲唐草を両面に彫り、虹梁下持送りには、獅子頭を取り付けている。なお、向拝蟇股裏面に「明治拾貮己卯年十月長野県下長野櫻枝町彫刻師北村喜代松謹彫之」の在名がある。その力強さは、観る人の心を引き付けるものがあり、社寺彫刻の巨匠、北村喜代松(三代正信、1833~1906)の作であることが証明される。

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