毘沙門天立像

更新日:2023年03月31日

毘沙門天(びしゃもんてん)立像

県 彫刻 昭和60年9月12日指定

朝日町南保4740の1(清水寺)

(写真)毘沙門天立像の画像

毘沙門天は四天王の一つで、北方を守る多聞天(たもんてん)のことであるが、独尊としてまつられることもある。

この毘沙門天、は総高183センチの木造である。積年の風化で表面の杢目(もくめ)がむき出し、一段と木彫的効果を高めている。

技法は各部にわけて刻まれ、頭部と胴部はともに裏面より内刳(うちぐ)りされ、胴部には背版があてられている。上肢は紛失していて原型は不明だが、肩部で組剥ぎ(くみはぎ)であることは柄(ほぞ)穴により確認できる。いわゆる割矧(は)ぎの法の寄木(よせぎ)造りで彫成されている。

邪鬼(じゃき)は別材で作られているが、現状は胴体のみで頭部と四肢は欠失していて、はっきりしない。

本体の表面彫はまことに見事で、彫眼で怒号の面相に、甲冑(かっちゅう)をつけた武装、さらに邪鬼をふまえた腰部のひねりは、上肢を欠くとも、威厳と躍動感を表現し、木彫独特の量感と荘厳(しょうごん)さを感じさせる傑作である。

制作年代は、三代流派(慶、円、院の各派)が、その彫技を競った藤原末から鎌倉期にかけての頃と思われるが、しいて年代を画するならば鎌倉時代とみたい。

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